雑記

姉と妹の仁義なき攻防戦 ~探偵ナイトスクープ ネコのぬいぐるみ論争~

探偵ナイトスクープをずっと見ている。

くだらないことを徹底的に突き詰めていくバカみたいな回もあれば、

とてつもなく深い感動を呼ぶ回もある。

振れ幅が非常に大きくて、見ていてとても面白い。

さまざまな娯楽がある中でも、探偵ナイトスクープは

ずっと見ていたい番組の1つである。

 

先日番組を見ていて、非常に怖いと感じる回があった。

19年4月19日に放映された探偵ナイトスクープで、

ネコのぬいぐるみに関しての依頼があったときのことである。

 

依頼は姉からのもので、妹がモノを取って返さないので、

説得して欲しい、という内容であった。

家族でドイツ旅行に行き、ぬいぐるみショップで

姉はネコのぬいぐるみ、妹はクマのぬいぐるみを買った。

旅行から帰り、ベッドにぬいぐるみを置いていると、

いつの間にか姉の部屋からネコのぬいぐるみがなくなっている。

妹の部屋に行くと、ネコのぬいぐるみが置いてあり、

勝手に持って行ってしまうのである。

何度行っても一向に収まる気配はなく、取り返しては取られる、

といったことをずっと繰り返している。

妹をなんとか説得してもらえないか、といった相談だった。

 

探偵があいだに入り、お互いの言い分を聞いて仲介に入るが、

一向にラチがあかない。妹からぬいぐるみを取り戻すと、

お姉ちゃんはぬいぐるみ界から嫌われていて、

お姉ちゃんといたら、ネコがかわいそう、などと言う。

聞けば、ネコのぬいぐるみ以外にも、服やアクセサリーなども

勝手に持っていってしまうことがあるとのことで、

非常に悩ましい問題である。

普段は非常に仲がいいというのも、この話が面倒な要因の1つである。

その後、2人で話し合いをすることになった。

 

自分のものだから早く返して欲しい、という姉。

クマさんは自分の元にいた方がいいと譲らない妹。

 

どちらも一歩も引くことなく、議論は平行線で続いていく。

3時間話し合いをしたものの、結局未解決のまま

番組は終わってしまうこととなった。

小さなことに思えるけれど、非常に根が深くて恐ろしい問題である。

この場合、まだネコのぬいぐるみだからいいけれど、

もしほかのものだったら、大変なことになるのではないだろうか?

この話をみたときに、わたしはある本のエピソードを思い出した。

 

亀山早苗さんは不倫に関する著作を多数執筆している。

不倫の恋について取材し、さまざまな男女のあり方について本にしている。

亀山早苗さんの本を見ていて思うのは、男女の関係は多様であり、

一括りにはできないということである。

法律や倫理などで裁くことなんてできないのではないか?

そんな風に思えてしまう。

不倫はいけないことだけど、不倫をしても仕方のない状況というのは、

あるような気がする。

いろんな事例があり、読むたびにいろいろと考えさせられる

ことがあって、非常に面白い。

 

ある本の中で、妹に彼氏を取られた、というものがあった。

最初、姉と彼氏が付き合っていたけれど、妹が途中で入ってきて、

捨て身覚悟で彼氏にアタックする。彼氏は妹の情にほだされて負けてしまい、

やがて妹と付き合うようになる。彼氏を取られた姉と妹の壮絶なバトル。

やがて妹は結婚して妊娠する、といった内容であった。

 

初めてこのエピソードに触れたときに、わたしは驚愕の思いだった。

果たしてこんなことが実際にあるものなのか?

普通に考えてみてありえない行動である。

今後、家族としてずっと付き合っていかなければならないのに、

そんなことをする人なんて実際にいるのだろうか?

にわかに信じがたいことだけど、非常に強烈なエピソードだったので、

それが頭の片隅に残っていた。

 

番組で姉妹が争っているのを見て、ふとこの話を思い出した。

もしかしたら番組に映っている姉妹ならば、

こういったことが起きる可能性はあるのではないか?

今回はたまたまネコのぬいぐるみ論争で、笑い話で済んでいるけれど、

これがもし、付き合っている彼氏となった場合、ただでは済まないだろう。

とてつもない状況になるのが、見て取れる。

それを思うと、この話が単なる笑い話ではないように思えてきた。

 

亀山早苗さんは実際に取材をして書いている。

ほかにも男女をめぐるさまざまなトラブルや争いなどが描かれており、

不倫によってどんなことが起きるのか、詳細に綴っている。

一時期、芸能人の不倫のニュースばかりをワイドショーで取り上げていたけれど、

不倫に関するバッシングは、世間一般の価値観である。

ルールを守れる人にとって、そんなことは絶対にダメだと厳しく批判する。

でも世の中には、規則やルールに合わせることができない人がいるのだ。

その人たちが悪いことは確かだけれど、だからと言ってどうにもできないこともあって、

一概に断罪することなんてできないのだ。

不倫なんてバレたらどうなるかくらいは、絶対に分かっているはずである。

それでも不倫をせずにはいられない。恋はするものではなく、落ちてしまうもの・・・。

世の中には本当にいろんな人がいて、そう簡単に判断できるものではない。

 

姉妹の話では、ほかにもいろいろと思い出すエピソードがある。

イギリスの天才チェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレの生涯を

姉と弟の視点から見た著作『風のジャクリーヌ』もまた、とてつもない作品である。

本は500ページ以上ある大作なので、読むのは非常に骨が折れる。

映画を見たほうが大枠をうまく掴めてよいと思う。

映画『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』は、

天才チェリストの生涯と、裏の顔が克明に描かれている。

ジャクリーヌ・デュ・プレはチェリストとして世界各国を渡り歩いていく。

しかしやがて孤独に苛まれていき、やがて姉の夫と・・・、みたいな

話になっていく。大変ショッキングでスキャンダラスな話である。

日本のワイドショーなどで、格好の餌食になりそうな題材である。

 

姉と妹の話で言うと、楳図かずおのマンガ『おろち』の中に

「姉妹」という作品があった。女性の美について描いたマンガである。

姉と妹の壮絶なバトル、ウソや駆け引きなどがあって、

すさまじいことが繰り広げられていく。

男のわたしからすれば、もはやホラー以外何者でもない。

なぜこんなことが描けるのだろうか?

ほかに真似することのできない、至高の傑作である。

 

探偵ナイトスクープのクマのぬいぐるみの姉妹は、

その後解決したのだろうか?

考えられる解決策は、離れて暮らすというのがもっとも得策のような

気がするけれど、何が一番良いのかは、わたしには分からない。

人にはいろんな事情があるのだから、何とも言えないものがある。

誰かがドイツに行って、もう1つ買ってくればいいのではないだろうか?

でもきっとそういう問題ではないのだろう。

一視聴者として、無事に解決することをこころから願っている。