滋賀

【近江演劇祭】スピカの芝居「ロミオとジュリエット」がぶっ飛んでいた件

ロミオとジュリエットと言えば、シェイクスピアの名作演劇である。

わたしは大学時代に英米文学を専攻していて、

大学の教授は、シェイクスピア研究をしている人ばかりだったので、

シェイクスピアは、いろんなものをイヤというほど見せられた。

ロミオとジュリエットも、ディカプリオとクレア・デーンズの映画だったり、

60年代のオリビア・ハッセーが出ていたものなどを授業で見たりした。

映画を観て、感想を言えば良いだけだったりするので、

ラクといえばラクだった。大学を卒業して随分と経ち、

シェイクスピアのことなど、すっかり記憶の彼方に飛んでいたところだった。

今回、近江演劇祭というものが、わたしの住んでいる家の近くにある

芝居小屋で開かれるということを知り、足を運んだ。

 

さまざまなラインアップがあったけれど、その中でひと際目立っていたのが、

劇団「スピカ」である。ロミオとジュリエットを一人芝居でやるという

ハチャメチャな設定である。登場人物はとても多いので、

一体どうやってこなすのか、鑑賞する前からとても楽しみにしていた。

 

芝居が始まると、本当に1人の女優さんがすべての役をこなしている。

表情や仕草などを巧みに変え、ナレーションや会話にいたるまで、

口調や言い回しなどを変えてすべて1人で行っている。

1人でやっているとは思えないくらい、しっかりと役を作っている。

狭い舞台だったが、縦横無尽に駆け回り、スピード感あふれる展開で進んでいく。

ロミオとジュリエットは、すべてをまともにやるとだいたい3時間近く

かかってしまうけれど、劇団スピカは40分ほどに短縮して芝居を

する、とのことだった。

 

途中、たっぷり間を空けて放った一言、

「水を飲みます」というセリフに、会場は笑いの渦に包まれる。

水を飲む、という単純なワードなのに、あんなに笑いが起きるのは、

なかなかないことである。緊張と緩和が生み出す、見事な笑いだった。

 

完全に1人の女優さんの独壇場だった。

この人は芝居をするのが、本当に好きなのだな、と思った。

いろんな役があるのに、全部1人でやろうなんて普通は思わない。

そもそも劇団員は3人で構成されているのに、残りの2人は

ほとんど裏方の活動だった。

全部1人でこなしたい欲張りなのか、それとも無理に押し付けられて

やらされているのか。真相は分からないけれど、このようなタイプの芝居を

いままで観たことがなかったので、楽しく鑑賞することができた。

 

近江演劇祭は、いろんな劇団が芝居をやっていたけれど、

その中で、スピカの芝居は格別印象深いものがあった。

あの女優さんは、普段からあんな感じなのだろうか?

芝居をしすぎて、自分を見失ってしまうことはないのだろうか?

勝手にいろいろと考えてしまったりもする。

今回はロミオとジュリエットだったけれど、

例えば『オーシャンズ11』とか『レザボアドックス』とか、

濃いキャラが次々と登場するものでも、女優さんは1人で

こなすことができるのだろうか?さすがにやってほしいとは言わないけれど、

あれほどのエネルギーがあれば、やればできそうである。

近江演劇祭は、面白いものとそうでないものがあったけれど、

スピカは間違いなく、一番印象深かった。

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