本・雑誌

『クルマを捨ててこそ地方は甦る』はすべての地方に当てはまるのか?

京都大学大学院教授である、藤井聡さんが書いた著作

『クルマ捨ててこそ地方は甦る』という本を読んだ。

大胆な提言をしていて、共感できるとそうでない部分があった。

街づくりを考える意味で非常に参考になった。

 

わたし自身のことを言えば、クルマはずっと持っていない。

東京にいるときは、どこに行くのも電車なので、

クルマの必要性を感じなかった。

会社は基本的に店舗にいることがほとんどである。

外出で必要になることもあったが、

それほど頻度が高いわけではない。

それにいまは、カーシェアという便利なものがある。

金銭的なものを考えれば、クルマを所有する理由がなかった。

クルマを所有しなければ、固定費を劇的に削減できる。

 

転勤で他の地域に行っても、それは変わらなかった。

クルマが必要だと思ったとき、わたしは大半をカーシェアで済ませてきた。

カーシェアは非常に便利な制度である。

わたしは、クルマを移動の手段と捕らえていて、

クルマ自体にあまり興味はない。

できるだけ安く済ませたい、と思う人間なので、

クルマを少なくする、という提言自体は賛成である。

 

先進国の取り組みや、未来の街づくりを考えたときに、

クルマは不要、という考えについては理解できる。

新宿や銀座には歩行者天国になる時間がある。

大阪の御堂筋を完全歩道化にしよう、といった提言などは、

わたしはかなり賛成の立場である。

著者も、未来に向けた街づくりについて

考えを言っているように思う。

 

ただ多くの地方都市には、当てはめることは難しいと思う。

雪国はクルマが無ければ生きていけない。

JR北海道の路線の大半は、赤字という話を聞くけれど、

電車よりもクルマが交通手段のメジャーになっているのはないか?

 

少し前に山梨の都留にいたことがあるけれど、

クルマが無ければ非常に生活がしにくい。

富士急行という電車があるけれど、

主な需要は富士山へ向かう観光列車である。

値段設定はそれなりになっていて、

地元の人が普段遣いするような金額ではない。

 

名古屋は、完全にクルマありきの街づくりをしている。

トヨタのお膝元のようなものなので、当然といえば当然である。

郊外に行くと、ロードサイドにいろんな店が並んでいる。

完全にクルマで来客を促す店づくりである。

 

ほかのあらゆる街にも言えることだが、

地方はすでに、クルマを前提とした街づくりを行っているのだ。

それをいまから変えるというのは、現実的ではない。

著者の言っていることを実践して、良い結果を生む都市は、

かなり限定されるように思う。

一例に京都を挙げていたけれど、京都は立派な都会である。

地方の寂れた街で、クルマを取り上げてしまうと、

良い結果を生むことはないと思う。

 

クルマの少ない街づくり、というのは、わたしも応援したいけれど、

果たしてどこまで有効なのか、という疑問が残る。

地方の多くの人にとって、クルマは主たる交通手段であり、

クルマ無しで生きていくことができない。

家族がいて、子どもの送り迎えや休日に外出するといったときに、

クルマという手段以外で、快適に過ごすことができるだろうか?

わたしはうまく想像することができない。

 

当たり前のようにクルマを持つ、という考えに、

一石を投じるという意味においては、良い著作だった。

ただ、クルマは必需品という考えに変わりはない。

著者が言っていることにうまく当てはまるのは、

都心や、駅前に店が集積している街などに限られるように思うのだ。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です