映画批評

【伝説の試合】映画『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』を観た!

スポーツの名勝負、というのは数多くあるけれど、

とりわけテニスの歴史において、史上もっとも熱い試合として、

伝説となっているものがある。

1980年のウィンブルドン決勝戦。ボルグvsマッケンロー。

この歴史的な名勝負が18年に映画化されることになった。

 

わたしはテニスのことがあまり詳しくないが、

ボルグとマッケンローの名前は知っている。

テニスの名勝負と聞けば、ものすごく興味をそそられる。

観ないわけにはいかない。

いつか必ず観よう、そう思っていたが、

なかなか都合が合わずに時が過ぎていた。

 

ボルグとマッケンローは、一見、正反対の性格のように見える。

常に冷静沈着のボルグに対して、審判に悪態をつくなど悪童として

知られていたマッケンロー。

だが、2人の過去が明るみになるにつれて、実は反対なのかもしれない、

といった風に思えてくる。

 

ボルグはすでにウィンブルドンを4連覇しており、世界的なスター選手だった。

いつ負けるか分からない、自分のことなんてすぐに見放すに違いない。

冒頭から中盤にかけては、重圧と戦う描写が続いていく。

一方でマッケンローは、若くして勢いのある選手である。

感情をむき出しにし、誰彼かまわず噛み付いていく。

記者からの失礼な質問に「テニスのことを聞け」と言い返すところなど、

マッケンローらしいところが随所に見られる。

 

テニスを観ていていつも感じるのは、普通の人からすれば

想像のつかない世界で、しのぎを削っている、ということである。

数あるスポーツの中で、これほどまでに内省的で、

孤独や苦悩が付きまとう競技は、テニス以外にないのではないか?

それゆえに、テニス選手で頂点を極めた者は、

より多くの尊敬を集めるのだと思う。

テニス選手のすごさは、ほかのどんな競技にも例えづらいものがある。

 

試合は熾烈を極めた。

最終セットで16―18まで行ったのだから、

いかに激しいものだったかがよく分かる。

今日まで語り継がれているのも納得の試合である。

わたしはこの試合に興味があったので、楽しく鑑賞することができた。

 

ただ、映画単体としての出来を考えたときに、うーんと考えることもある。

この映画は、伝説の試合ありきの映画である。

役者の作り込みなど、細部にいたるまで忠実に再現していると思われる。

 

ただ、現場の熱量はもっとすごかったはずである。

その感動を作り手からも伝えて欲しいという思いがあるけれど、

残念ながら、そこまでのものは感じなかった。

 

題材は面白いし、役者の作り込みや絵の美しさはあったけれど、

映画全体の演出が、伝説の試合に向かって刻一刻と迫っていく、

みたいに、単調でありきたりなものだったような気がする。

よくできていると思ったけれど、もう1つ何かが欲しかった。

 

試合の雰囲気やさまざまな出来事について描写されているので、

全体の流れを振り返るのには良いと思う。

 

ボルグとマッケンローはのちに親友となり、マッケンローの結婚式には、

ボルグが訪ねた、というエピソードが非常に興味深い。

最強のライバルがのちに親友になる。

そこにはきっと、2人にしか分からないものがあるのだろう。

いろいろと想像が膨らんで、楽しくなってくる。

DVDを借りて約90分間、楽しく鑑賞ができた。

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